楽器は左手のどこで支えるのか

楽器は左手のどこで支えるのか

2018年8月5日
レッスン
バイオリンを始めたころから最近まで、個人レッスンで「親指と人差し指の付け根でV字を作り、ネックを挟む」と教えてもらい、ずっとその通りにしていましたが、現在は親指の第1関節から第2関節の間だけで支えています。

最初に習ったV字型で支える奏法は本屋で購入したある教本にも同じように書いてあったため、疑うこともなく、同時に楽器を左手で支えてはならないとも教えていただき正しいと信じこんでいました。

このように持つと、G線とE線では明らかに掌と肘の角度が変わります。
G線からE線へ移るように弾くとネックを中心に掌が回転するように動くでしょう。
その教本には、「G線を弾くとき」と「E線を弾くとき」の肘の角度が変わることを写真入りで紹介されています。

ところが現在師事している先生によると、冒頭に述べたように親指だけで支え、人差し指の付け根はネックに触れることはあっても支えていない自由な状態を保つ。自然とA線とE線では指板から離れます。

親指はネックを支え、絃を抑える指の反力だけとなり(画像は膝に置いて撮影しているため演奏中とは異なりますが)、指と掌の角度や親指の位置は移絃してもほとんど変わらないことが分かると思います。
これはかなり合理的です。

  • ネックを挟みこまない→親指と人差し指付け根の力関係で楽器が揺れない→顎あてが必要ないほど楽に弾くことができる。
  • E線1の指が楽に押えられる→掌が左回転し自分のほうへ向かない→全ての指が絃の間近に置ける→微細な指の動きで絃を押えることができる。
  • 肘、腕の角度がほぼ変わらない→指だけの安定した無理のない動きで弾ける。
  • 位置移動やビブラートが楽に、より繊細にコントロールできる。



この指導を受けたとき最初は戸惑い、理解するのに1ヵ月以上かかりました。
途中、「もう以前の弾き方のまま練習させてほしい」とさえ思いましたが、あるとき親指にネックが吸い付き、顎当から顎を外して弾いても楽器は全く下りも動きもしない不思議な感覚を覚えました。

現れては消えるこの感覚が不思議で仕方なかったのですが、頻度が増えていくと、鍵は「親指と人差し指の付け根で挟まないこと」だと分かりました。
楽器が揺れたり下ったりするのではなく、親指や人差し指付け根で勝手に揺らしていただだけだったのです。

動いたり下ったりするから顎でグッと支えなければならない・・・でも揺れなければ、支える必要がない。

現在ではこの素晴らしい事実に気付いたため、「もう元へは戻れない」とまで感じています。

1の指が押える場所を見失うこともあり、「ほんとにこれで正しいのか?」と悩み先生に相談しましたが、「親指と1の指の関係性をしっかり持つ」、「移絃は指をずらすように弾く」ことで解決できました。これはとても大切なことだと思います。
また、左手はV字ではなく丸い自然な形のほうが都合が良いようです。

ビブラートや位置移動のとき「エイ!」と顎当てで支えていませんか?
もしそうなら、改善する余地がありそうです。