安定して立ち続けるために

安定して立ち続けるために

2018年8月21日
コラム

バイオリンは立っても座っても弾ける楽器ですが、腕を振るため立って弾くほうが上体が安定し演奏に集中できます。
座っていると下半身の重さを使いにくいため、腕の振りで上体が揺れやすく、背筋が丸くなりやすく、腰に大きな負担がかかるようです。

「立つ」という動作は難しいことではありませんが、より安定して立つことで演奏に集中し、良いパフォーマンスを長く保てるでしょう。

まず、肩幅程度に足を開き、しっかりと足裏を床につけますが、このとき足裏の踵、親指付け根、小指付け根の3点を意識するとより良いです。
若干踵側に重心を置きます。これは楽器を構えたとき、前に腕が出るため少し重心が前に移動するからですが、体重は踵寄りに載せると長時間立っていても疲れにくいです。

腕を振り身体が揺れることを考慮し、膝関節を柔らかく保つためにピンと伸ばさずほんの少し緩めます。
「水面に浮かぶ小舟に立つように」をイメージすると良いでしょう。

「片足立ち」の練習はバランス感覚を養い筋力を向上させるために有効です。
太もも前の筋肉、大腿四頭筋をストレッチするように膝から下を後ろへ蹴り上げ、手で持ったまま姿勢を保ちます。
これだけでも慣れないとフラフラする場合もありますが、足裏の3点を意識することで保ちやすくなります。

ヨガのバランスポーズはとても有効です。
立木のポーズ鷲のポーズなどは慣れない人でもとりやすいでしょう。

短時間でも良いのでウォーリア3など少し難しいポーズを練習していると、バランス感覚はどんどん向上し、それほど期間もかからず2~3分なら平気で片足立ちしていられるようになります。
普段使われていない姿勢を保つための筋肉もどんどん強くなるためでしょう。

バランスポーズに取り組むのと並行して、普段から歩く距離を伸ばしたり、電車で座らず立っているのも良い訓練になるでしょう。
吊り革を持つ手を緩めて下半身で揺れに対応していると、普段使わない筋肉に刺激を感じます。

不規則に上体が揺れ続ける練習で長時間立ち続けるには、首から背骨、腰骨、大腿骨、踵に体重をまっすぐ落とすバランス感覚が大いに役立ちます。
筋力だけで立ち続けようとすると、あっという間に疲労してしまいます。

長時間立っていても疲れない身体を作れば、演奏が安定するだけでなく練習がより楽しくなるでしょう。