弓は消耗品ではない

扱い方

お世話になっている楽器店、バイオリンなど弓の毛替えは3万円弱と高額な上、日数も1週間程度かかります。多くの弦楽器工房が数時間、5千円程度で毛替えを請け負う現状を「手抜きとしか思えない」ともおっしゃいます。
そのためか、弓毛を消耗品扱いする奏者を良く思っていません。

しっかり選別され、完璧に調整した弓毛も絃に押し付けて弾けば痛みは早い。スチール絃に横滑りさせればあっけなく切れてしまうが、これは「もってのほか」だそうな。

また、このような奏者の弓は竿に傷がついていることが多く、弓毛やラッピング、革巻を消耗品扱いする傾向がある。

弓毛は消耗品ではなく、正しく弾けば年単位で使える。革巻も爪を当てなければ消耗は少ない。竿は叩きつけなければ永遠に使える。

太い絃を強く張り、人差し指の強い圧で押し付けることで大きな音が出るという間違った発想がそうさせているのでしょう。

冒頭、「手抜きとしか思えない」弦楽器工房と記しましたが、弓を消耗品として雑に扱う奏者の存在がそのような雑な仕事を生む原因になっているとも言えます。

優れた弓は丁寧に使えば永遠に美しい。良質な材料で作られた貴重な弓を、完全な状態で次代に引き継ぐのも、私達現代奏者の努めです。