弓はご存知のように棒に弦を張っただけという、とても単純な作りをしています。
それだけに、素材が悪ければどうにもなりません。例えばピアノやストリングスのように複雑になればなるほど、材料の違いによる性能差は少なくなります。
もしあなたが今お持ちの弓に何らかの不満があり買い換えたいとお考えでしたら、恐らく10万円以上のものでないと違いを感じることはないでしょう。そして、10万円を超える弓なら私達サラリーマンには良すぎる弓が選び放題です。
30万円を超すような弓は希少ですが、誰にとっても必ずしも良いとは限りません。10万円を超えたら、自分に合うかどうかを慎重に、大切に試さなければなりません。それほど10万円を超える弓は素晴らしいものが多いです。
ここで少し、買い換える動機について考えなおしてみましょう。
ヴァイオリン属はご存知の通り何をするにも高価なものが多く、「10万円の弓なんて使い物にならない」などと言う人もいます。
もちろん、プロ奏者や専門に学んでいる方々にはそうかもしれませんが、我々サラリーマンにとって10万円はかなりの大金です。
週末ドライブを楽しみたいのにポルシェやフェラーリを買うサラリーマンはいないでしょう。
サイクリングを楽しみたいのに50万円のロードレーサーを買うサラリーマンもまた、いないでしょう。
あなたが既にお持ちの弓は、ほんとうに買い換えなければならないほど深刻な状態でしょうか?
弓の弦は古くなっていませんか?竿が曲がっているなら、修正できます。変なところが削れているなら、弾き方を確認する必要があります。弱いと感じるなら、先生や上手な人に試してもらいましょう。
私達サラリーマンは商品に対する優れた判断力を持っています。
家電を買う時、メーカーや機能を比較し家庭事情に合ったものを選び出し、量販店や通販の中からポイントも含め有利な方法で買います。
スーパーでお買い得品を見つけたらほんとうに得なのか判断する。でも食べたくないものまで買ったりしません。
居酒屋に行けば料理の質と味、雰囲気などと値段を天秤にかけ、吊り合わなければ再び行くことはなくなり、いつしかお店もなくなっていきます。
しかしなぜかヴァイオリン属になると、盲目的に自分以外の誰かの意見に流されたりしてしまいます。
そして大抵の場合、買い替えが必要ない例が多いように思います。是非、あなたに備わった素晴らしい選定眼で、もう一度確かめてみてください。