港町の古アパート「霧笛荘」。
不幸のぶんだけ、幸せもきっとある。
そんな気持ちにさせてくれる美しくて醜い7人の物語。
一人づつ、短編集のように物語は繋がって行きます。
自殺しようとして死に損なった千秋、大時代なキャバレーに勤める美しい眉子、冴えない半チクなヤクザの鉄夫、ギタリスト志望の四朗、オナベのカオル、特攻隊くずれのマドロス、そして管理人の老女。
浅田次郎氏は、この物語の執筆に2年を要したと言います。
曲は懐かしくも新しくも感じ、物語の1編に1曲作られていますが、イメージにぴったりでより世界観を広げさせてくれます。
名作と呼ぶにふさわしい物語と、美しく哀愁漂う高島ちさ子さんのバイオリン。改めて深い人間性と広い音楽性を感じます。
バイオリンに興味のない人にもお勧めしたい作品です。