一見不自然な持ち方をする、弓を弾く仕草はとても美しいものです。私もオーケストラに所属していたとき、前の席で弾く女性のダウンからアップへの返しの美しさに見惚れてしまうほどでした。
ヴァイオリンはその音色はもちろん、歌うように、踊るように弾いている姿の美しさも魅力です。
運弓(ボウイング)の練習をするとき、いまいち確信を持てないものに角度があります。私が見聞きしただけでも次の3つ。
- 弓の角度を絃に対して直角から、若干渦巻き側へ倒す。すると弓の弦と絃は全面ではなく、渦巻き側に浮いた状態で接触する。弓元では大きく、弓先では小さく傾く。→あるヴァイオリン教本より。
- 弓の弦と絃は常に全面で接触する。これは均一な発音のために大切な運弓(ボウイング)技術である。→あるヴァイオリン教本より
- 弓元では渦巻き側に傾け、中弓では全面に接触、先弓では駒側に倒す。これが最も自然な運弓(ボウイング)運動ができる。→私が習ったレッスンの先生
それぞれに理由があり指導されているのですが、私は「3.」でずいぶん長い間弾いていました。正しいか間違っているかは私には分かりませんが、先生がそう弾いているなら、という理由でとくにどうというものではありません。
このような運弓(ボウイング)なので、弓の弦が平たいものではなく、丸い線のようなものに感じるときがあります。
これは意識を発音に集中できるため、都合が良いと考えていました。
現在では、上のどれでもなく2.に近い「先弓では渦巻き側に傾き、元弓では全面に接する」ように弾いています。
よく「一度癖がつくと変えられない」と聞きますが、そうとは思えません。何かのコツを教えてもらったとき、「お、これはイイ」をすんなり受け入れたり、古く馴染んだ道具も買い換えたら「やっぱり新品はええな・・・」と思ったことはありませんか?
現在の弓の使い方も、10年以上経った後でしたが特に苦労することなく移行することができました。
指と弓の接する位置や手の形、手首の角度まで全て変えたにも関わらずです。
間違った方向に変えるのは苦労するかもしれませんが、正しい方向へ変えるならそれほど苦労せずに変えられるはずです。