ビオラ・ダモーレ

2015年8月12日
歴史に学ぶ

20150812_203811-1
7本の絃に加え、指板の下のトンネルを通る7本の共鳴絃が張られたビオール属の楽器です。

音色や姿はその名の通り、「ビオラ・ダモーレ」、「愛のビオール」です。
レオポルト・モーツァルトも「夕暮れの静けさのなかでは特別に魅力的」(バイオリン奏法)と書いています。

この共鳴弦は音量のためというより、響きのために設けられています。時間はかかりますが調性に合った調絃をしたときは、響きの良いホールで弾いているように感じるほどです。

この楽器の前進、「イングリッシュ・バイオレット」に比べると共鳴弦は14本から7本に整理され、ペグボックスも小さくなったのですが、やはり肩と顎の間に構えるには巨大です。
kajid16
音域は広く、バイオリンとビオラ両方を合わせた感じ。ビオラの最低音絃より3度低い音までカバーしています。

バロック時代には数多くの協奏曲やソナタ、小品が書かれました。特にビバルディの9曲の協奏曲は名作として親しまれています。

オーケストラでも独奏楽器として現れます。
バッハ:《ヨハネ受難曲》
マイアベーア:オペラ《ユグノー教徒》
ブフィツナー:オペラ《パレストリーナ》
プロコフィエフ:バレエ組曲《ロメオとジュリエット》
プッチーニ:オペラ《蝶々夫人》

長崎を舞台にした有名な《蝶々夫人》にもビオラ・ダモーレが使われています。
しかし、日本ではこれをビオラで演奏している場合もあります。指揮者によって解釈は様々、といったところでしょうか。