もし、「重音で手際よく調絃」している人を見たら、あなたはどう思いますか?既に「初心者のレベルを脱した人」に見えるでしょう。
「重音で手際よく調絃」している人が初心者を自称したなら、それはちょっと違うように思います。
調絃だけでその人の技量まで見えてしまう恐い楽器を選んでしまいましたね。しかし心配はいりません。ちゃんと練習すれば、誰でもできるようになります。
目的の手順は
- 音叉、音程の確かなピアノ、チューニングメーター音源などで442Hzの音を出し、A線を合わせます。
- A線とD線を同時に弾き、D線を合わせる。
- D線とG線を同時に弾き、G線を合わせる。
- A線とE線を同時に弾き、E線を合わせる。
となります。
が、慣れないとかなり時間がかかってしまいます。大切な練習時間を調絃にとられてしまい楽しくありません。
そこで、いつも通りチューニング・メーターや鍵盤楽器で調絃する手順に、
- 「G線だけ、重音で合わせる」を1週間続ける。
- 「D線だけ、重音で合わせる」を1週間続ける。
- 「E線だけ、重音で合わせる」を1週間続ける。といったように分解して調弦の練習をメニューに加えていきます。太い絃、G線は重音で合わせることが早いうちから容易にできるでしょう。これはペグで扱い易い絃であることも理由の1つです。
また、基準となるA=422Hz音も、たまに音源から合わせる練習をします。これはいずれ合奏に参加したときに大切な技術です。
調絃を終えたら、5度音程の重音での響きをよく覚えておきます。
1度や2度聴いて覚えられるのはモーツアルトくらいです。我々ごときサラリーマンは、何回も何週間も、毎日繰り返し聞き続け、時間をかけてようやく覚えていきます。
すると不思議。2~3ヶ月もすると重音で合わせるほうが楽なことに気付き、自然に目的の手順になるでしょう。
コツは諦めずに毎回練習し音を覚えること。
さて、ここで注意点を一つ。
重音で合わせると心地の良い5度音程を目指すわけですが、G線とD線では開き気味、つまりG線をチューニングメーターより低く合わせてしまいます。
これは平均律と純正率の違いから生まれていますが、平均律での5度音程を覚えて合わせたほうが、何かと都合が良いでしょう。