バイオリンの歴史を振り返ると、「顎あて」もありませんでした。
楽器を肩の上に置き、逆に反った弓で弾く絵画をご覧になったことがあるでしょう。バロックバイオリンの時代ではそれが当たり前でした。
かなり古い楽器では肩と顎のあたる部分のニスが剥げています。
楽器が発展していく中で「顎あて」が考案されます。
この素晴らしい部品で、楽器を軽く確実に構えることができ、頻繁な位置移動やビブラートもたやすくなったことが想像できます。
「目をつぶった人の肩と顎の間にそっと楽器を差し込み、手を離しても気付かない」ほど、軽く楽器を持つことができるようになったのです。
さらに肩当ては、楽器を安定して構えるために役立ちます。
慣れないなら、是非使うべきでしょう。
プラスチック製、木製といろいろありますが、見た目の好みより自分に合うものを試して見つけると良いでしょう。
私はいろんな肩当てをお借りして試しましたが、どれも思ったより使用感は変わりませんでした。
KUNのプラスチック製。こちらは私が始めて買ったもの。とても使用感がよく、安く、最も一般的に使われていると聞きました。デザインも邪魔をせず、良いですね。お勧めです。
固く、合わないと使いにくいかもしれません。
お店で試してから買いたいものです。
買った理由は「カッコいいから」。ネジが緩く、持ち歩く時クルクルクル~!っと回ってしまいます。やはり木製は固く、試さないと怖いです。
マッハ・ワン:見た目のカッコ良さではNo.1の肩当て。実際に使っている人に聞いたところ、調整範囲も傾きも限られていて、使い勝手は悪そうでした。見た目と使用感は反比例するのですね。フェラーリで買い物に行けないようなものです。
最近まで使用していた肩当て。ひょっとしたら、これが一番良いかも?と思えるものです。金属製ですが軽く、安く、デザインも良く、肩の形に合わせて曲がります。
使用感も抜群で、誰にでも合うのでは?と思えるほど。
このタイプで楽器に取り付けることができ、跡が残らないものが扱いやすくおすすめです。
現在使用しているタイプです。とても具合がよく、自由に構えることができます。
少し厚すぎる感がありますが、カッターでスライスして調整できます。
肩当てというよりは、滑り止めに近いかもしれません。
肩当ては多くの奏者が使っていることもあり、当たり前に使ってきました。
初期に習った先生からは「決して左手で支えてはいけない」と指導を受けたので、尚更肩当てがないと難しく感じたのです。
しかしながら、顎と肩だけで楽器を保持し続けようとしたなら、どんな肩当てを使おうが何を挟もうが肩や顎への負担をなくすことはできません。
現在では左手の支えを利用しているため顎あてさえも必要ないほどで、加えて肩というより首の付け根で楽器を支えているため肩当てが滑り止めのような役割です。
肩当てのブリッジ状の脚が楽器の響きを妨げるという意見がありますが、これはどうかと思います。
真剣に聞き比べましたが、差を感じることはできませんでした。
ただ、肩当てなしの場合、楽器の響きを身体で感じることは確かです。これがなかなか、気持ちいいものです。