バイオリン属の音の美しさは言葉で表現できないほどですが、その要素の一つにビブラート、音の揺らぎがあります。
これに慣れるとトコロテンのように均一な音は味気なく感じてしまいます。
声楽家もそうですが、合奏練習時に指揮者から「音程が分かりづらいので一度、ビブラートをかけずに合わせてみましょう」と言われても、ビブラートをかけて演奏してしまう奏者を何度か見ました。
私はとても驚きましたが、それほど音の揺らぎは身体の芯まで根付く、心地良いものなのです。
ピアノやストリングスは広い音域と圧倒的な音数で広い表現力を持ちますが、バイオリン属は少ない音数ながら一つの音が伸び、揺らぎ、音量を替え、まるで声のような表現力を持ちます。この歌うような表現は他の楽器にはない魅力ではないでしょうか。
実際に練習を始めるのは正しいイントネーションを身に付けてから、というのが定説だと思いますが、早くから取り組むことでより練習が楽しくなるでしょう。
次の楽譜では、基本的なビブラートの練習を行うことができます。
・手首でかける
・指でかける
・腕からかける
いろいろな方法があるとされていますが、意識しなくて構いません。音程を意識し、ゆっくり、あるいは早く何度も繰り返すことで動きが安定してくるでしょう。
この楽譜では、基準音から低い方向へビブラートをかけています。これについても、どれが正解、いうものはありませんので、まずはこの方法で練習し、曲の中の長い音符から取り入れていくことが早道かと思います。
どのくらいの早さでかけてよいか迷うときは、16分音符(4分割)にしてみたり、早すぎると感じたら6連符(3分割)に当てはめると演奏しやすいです。
色々な人が色々なことを言います。
「指先を転がすように」
「音程を探すように」
「手首を軸に」
どれも間違いではありません。要は心地良い揺れた音を出せば良いのです。
また、上手にかけられないからと言って控える必要もありません。
少しづつでも取り入れて、何度も弾いているうちにその場その場に合った動きを見つけていくので、下手でも何でも積極的に使っていきましょう。
心配いりません。プロでも弾き方は十人十色です。
どこかの誰かに脅されても、何の支障が出るものではありません。