バイオリンではなく、チェロから始めたいと考えられる方は思いのほか多いようです。
チェロ組曲など、魅力的な独奏曲は多いですし、弾いてる姿が美しい。それにあの哀愁の漂う深い響きは他の楽器にはないように思います。
チェロはヴァイオリン属の中でかなり大きな楽器ですが、ギターほど指板は太くなく、弾いてみるとその押さえやすさに驚きます。
私はギターのバレーコードなど「えい!」っと気合を入れてもダメなので、チェロのほうが親しみやすいと感じています。
もちろん楽器経験なしにいきなりチェロから始めることはできますが、その場合の気になることを次にあげます。
- レッスンなど、教わる場が少ない
- 楽譜の絶対数が少ない
- 独奏曲がバイオリンに比べて少ない
- 床に置いて弾くため、振動が下階に伝わりやすい
- 特に低音部は建物の外へ音漏れしやすい
- 消耗品が高い
- 教材が少ない
- 大きいため、運ぶのがたいへん
これらは全て仕方のないことですが、楽器の経験がないとそれぞれについてハードルが上がってしまいます。バイオリンに限らず何かの楽器経験があれば、何ら問題なく進められると思うのですが・・・もし全く楽器が始めてで、可能ならバイオリンで一通り練習してからチェロに転向されたほうが楽しめるでしょう。
バイオリンは習う場、弾く場、教材、販売店、全てに困ることはありません。進めていくなかでチェロ奏者とも知り合うでしょうし、チェリストとしての楽しみ方も見えてくるでしょう。どちらが難しいか、ではなく環境としてバイオリンのほうが上達しやすいと思います。それに、チェロこそ合奏の場で楽しく貴重ですので、より楽しむためにもこの順番のほうが良いと思います。
・・・とはいえ、恐れすぎる必要はありません。弦楽器の中でチェロが特に好きなら、最初からチェロを手にとって弾くべきです。バイオリンの習得も時間がかかることですし、「もし楽器を弾くならチェロ!」という強い想いがあるなら、その気持ちを優先しましょう。大丈夫、何とかなります。
ちなみに私が楽団に所属していたときチェリストの印象として、次のように感じました。
- 音符の絶対数が少ない
- 音がカッコいい
- 弾く姿が絵になる
- 楽団のベテランぽく見える
- 楽器は案外、楽に持ち運べる
例えばコントラバスになると更に音数は減り、電車では運べなくなります。
あるチェリストは、「以前第2バイオリンだったが、チェロのほうが音符が少なく、長く楽団に所属していられる」と冗談で言ってました。もちろん簡単なパートなどありませんが、「僕もチェロやろうかな・・・」と気持ちが揺らいだ瞬間でした(^^)。